
制作体験の記録 · 掲載:2026年10月17日 · for-tomorrow
今回は、正直かなり手がかかりました。
探偵アドベンチャー『探偵 雨宮涼太郎』の序章「バスターミナル殺人事件」と、その世界のOP・EDのMVを作りました。曲は何十回も作り直し、動画では変装を解く短い場面に何十回も挑戦。ゲームの調整とは別に、映像として見せるためのやり直しも重なりました。
ようやく一通り形になったので、完成品と一緒に、うまくいかなかったところも残しておこうと思います。事件の犯人や解決の核心には触れません。
雨宮と美琴、ふたりの出会いから
舞台は東京。探偵の雨宮涼太郎が、知人を見送りに来たバスターミナルで事件に遭遇します。帰省のバスを待っていた大学生・美琴も、その場に居合わせていました。
調べる、話す、考える。懐かしいコマンド選択式のADVの雰囲気を手がかりに、まずは小さな出会いの物語から始めました。事件が解けたら終わりではなく、その後に美琴が雨宮の事務所へ顔を出す。そんな続きが生まれるふたりにしたかったのです。

曲は「最初の一音」がなかなか決まらない
OPには、始まった瞬間に「雨宮の物語だ」と感じられる勢いが欲しくなりました。Sunoで曲を作りながら、いろいろな方向を試しました。
かっこよくても、主旋律がなかなか出てこない。静かに始まりすぎる。少し古い感じになったり、思っていたよりコミカルになったり。「いい曲だけれど、覚えられない」ということもありました。
欲しかったのは、いきなりドーンと来て、そのまま覚えやすい主旋律につながる始まりです。楽器を増やすか、もっとシンプルにするか。言葉を足したり削ったりしながら、何十回も聴き比べました。
そうして選んだのが、OP「雨宮涼太郎のテーマ」です。EDには、事務所の日常とふたりの距離を感じられる「カップはふたつ」。同じ作品でも、入口と帰り道では違う顔を持たせています。
数秒の「変装を解く」が、一番の難所に
映像でどうしても入れたかったのが、老人の変装を解くと、なぜか一瞬でスーツ姿の雨宮になる場面。昔の探偵ドラマで見た、あの大胆でかっこいい登場の楽しさです。
ところが、思ったような動きになりません。髭が伸びてしまったり、服を脱ぐというより破れて出てくる感じになったり。身体が揺らめいてから変わると、変装を解いたというより変身に見えてしまいます。
さらに「マスク」という指示が、口に着けるマスクになったこともありました。こちらが頭の中でつないでいる動作が、そのまま映像になるわけではない。短い場面なのに、ここだけで何十回もやり直すことになりました。


そこで、かつらを外す、付け髭を剥がす、顔の変装の端をめくる、と動作を分けて考え直しました。ゲーム用には局所アップの静止画も別に用意しています。この絵は今後の演出用で、今回の序章にその場面を実装したという意味ではありません。
動画は、ようやく形になっても少し気になるところが残りました。それでも今回は、できた映像を使ってOP全体を仕上げるところまで進めました。
ゲームとMVでは、同じ絵でも見せ方が変わる
ゲームでは、会話を読みながら人物や現場を見ます。MVでは、一枚の絵を数秒で見せ、次のカットへつなぎます。それぞれで必要な調整があり、ゲームと個別にやり直す手間がかかりました。
人物は全身を小さく置くより、上半身と表情を大きく見せた方が自然。会話の改行で絵の大きさが変わると落ち着かないので、会話欄も固定しました。トイレの通路や部屋の位置、警察が名乗る場面、雨宮が話を聞く理由、事件の翌日なのか数週間後なのか。絵だけでなく、説明や物語の順序も見直しました。
MVの方は、人物の小さな演技に、回り込みやパン、ズームを組み合わせました。雨宮を主役に、美琴を何度も登場させ、田辺刑事と相棒の早川にも少しずつ出てもらっています。
最後に、カップをふたつ
ED「カップはふたつ」のMVは、最後に事務所の扉が開き、椅子に座る雨宮のもとへ、美琴がコーヒーをふたつ運んでくる流れです。
事件の緊張感を抜けたあと、ふたりの日常へ戻ってくる。曲も動画も、その空気につなげたくて作りました。雨宮と美琴がこの先どんな関係になっていくのかは、これから少しずつ育てていくつもりです。
完成したOP・EDはこちら
画像を押すと、YouTubeの動画を開きます。
序章、ひとまず完成です
今回は、曲を決めるところから、短い変装の動画、ゲームの読みやすさまで、ずいぶん行ったり来たりしました。思いどおりにいかない場面があっても、ひとつずつ選び直していくと、同じ雨宮と美琴の世界につながっていきました。
序章の初版を公開しました。まだ後から直したいところもありますが、まずは雨宮と美琴の出会いを、遊んで見てもらえたらうれしいです。
音楽はSuno、イラストや一部の動画制作には生成AIを使用しています。構成・採用・編集・動作確認を重ねて制作したオリジナル作品です。
