2027年からNISAで債券(投信)が買える!S&P500・オルカンとどう組み合わせる?インフレ下の考え方を資金の有無で解説
「2027年からNISAで債券が買えるって本当?」——はい、本当です。ただし正確には「国債や社債そのもの」ではなく「債券を中心とした投資信託」が、NISAのつみたて投資枠に追加されます(2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正大綱で決定)。
そこで気になるのが「じゃあS&P500やオルカンと、どう組み合わせればいいの?」という点。この記事では、債券投信がおすすめな人・そうでない人、バランスのよいポートフォリオ(資産の組み合わせ)、そしてインフレが進む中で債券をどう考えるかを、資金に余裕がある人・ない人に分けてやさしく解説します。
- 債券は「リターンを増やす」ためではなく「資産の揺れを小さくする」ために混ぜるもの
- 退職が近い人・値動きが怖い人には向く。取り崩しまで15年以上ある人は無理に不要
- 資金に余裕がない人は、債券の代わりに「預金」で十分。NISAは株式(オルカンなど)中心でよい
- インフレ局面では債券は万能の守りではない。インフレに強いのはむしろ株式。債券は「増やす資産」ではなく「減りすぎを防ぐ資産」
1. 2027年の改正で何が変わる?(債券そのものではない)
よくある誤解を先に正しておきます。2027年の改正で買えるようになるのは「債券型の投資信託」であって、国債や社債を1本ずつ買えるわけではありません。
| よくある誤解 | 実際に決まったこと |
|---|---|
| 国債・社債そのものがNISAで買える | ❌ 個別の債券は引き続きNISA対象外 |
| 債券型の投資信託が買える | ⭕ つみたて投資枠に「債券中心の投資信託」が追加(2027年〜) |
ポイントは「つみたて投資枠」に入ること。これまでつみたて投資枠は株式型の投信が中心で、守りの債券は選べませんでした。2027年からはコツコツ積み立てる枠の中だけで「守り」も完結できるようになる、というのが今回の変化の核心です。同じ大綱では、0〜17歳が使える「こどもNISA」(2027年1月開始予定・年間60万円)なども決まっています。改正の全体像は新NISAの基本解説とあわせてどうぞ。
この内容は2025年12月に閣議決定された税制改正大綱に基づく政府の方針(ほぼ確定)です。ただし、実際に対象となる債券投信の具体的な銘柄や、各金融機関の取り扱い・開始時期の細部は、これから固まっていきます。最終的な制度は今後の法令や金融庁の発表で確定するため、2027年が近づいたら最新情報を確認してください。
2. そもそも債券の役割は「攻め」ではなく「守り」
S&P500やオルカン(全世界株式)が「攻め」、債券投信が「守り」です。債券を混ぜると期待できるリターンは下がりますが、その代わり暴落したときの下げ幅も小さくなります。
つまり債券を入れるかどうかは「どれだけ増やしたいか」ではなく、「どこまでの下落に耐えられるか」で決めるもの。ここを取り違えて「債券のほうが儲かりそう」と考えると、判断を誤ります。
株式はアクセル、債券はブレーキ。ブレーキは速く走るための装置ではなく、安全に止まる(資産を大きく減らさない)ための装置です。
3. 債券投信がおすすめな人・おすすめでない人
- 退職が近い/取り崩しが始まる人(50代後半〜)。暴落から回復を待つ時間が短い
- 値動きが怖くて積立を止めてしまう人。続けられることが何より大事
- まとまった資金を一括投資する人。直後の暴落のショックを和らげたい
- 取り崩しまで15年以上ある人。時間が暴落を吸収してくれる
- 別に預金のクッションがある人。守りは預金で足りている
- 少額をコツコツ育てたい人。商品を増やすほど管理が面倒に
大事なのは、すでに持っているS&P500・オルカンを売って債券に買い替える必要はないということ。やるとしても「これからの積立の配分を一部だけ債券に振り替える」だけで十分です。これなら売却益への課税も気にせず、時間をかけて自然に守りの比率を高められます。
4. バランスのよいポートフォリオ【資金の有無で解説】
年代別の「株式:債券」の目安
| 状況 | 株式:債券の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 40代・積立継続中 | 100:0 〜 80:20 | 取り崩しまで15年以上あるなら株式中心で十分 |
| 50代・退職まで5〜10年 | 80:20 〜 70:30 | 新しい積立の一部を債券投信に振り替える |
| 退職直前〜取り崩し期 | 60:40 前後 | 3〜5年分の生活費は値動きの小さい資産に |
※あくまで一般的な目安です。正解は人によって異なります。「年齢と同じ%を債券に」という昔の目安は、長寿化した今では株式多めが主流になりつつあると言われています。
同じ52歳でも、60歳で退職して取り崩す人と75歳まで働く人では、適切な比率はまったく違います。比率を決める本当の物差しは年齢そのものではなく、①いつから取り崩し始めるか ②年金はいくらか ③預金・退職金はどれくらいあるかです。これらに余裕があるほど、株式を多めにしても耐えられます。「50代だから債券」と機械的に決めないようにしましょう。
資金に余裕がある人のポートフォリオ
- 1つのNISA口座で「攻め+守り」を完結できます。例:オルカン/S&P500を70〜80%、債券投信を20〜30%
- さらに余裕があれば、NISAの外に現金もキープ
- メリットは、相場が荒れたときに比率の調整(リバランス)を非課税でできること
資金に余裕がない人のポートフォリオ
- 商品を増やすより、「NISAは株式100%+生活防衛資金は預金」の2層構造がシンプルで強い
- 理由は次章のとおり、債券の「揺れを抑える」役目は普通預金でも果たせるから
- 半年〜1年分の生活費を預金で確保できていれば、NISAは攻めに振ってOK
どちらも「株が暴落したときに資産全体が大きく沈まないようにするクッション」です。資金が限られているなら、わざわざ債券投信を買わなくても、預金がその役を兼ねてくれます。むしろ預金は元本が減らない・いつでも引き出せるという強みがあります。
5. インフレが進む中で債券ってどうなの?
ここは誤解されやすいので、正直にお伝えします。インフレ・金利上昇の局面は、債券にとって追い風ではありません。
- 金利が上がると、すでに発行された債券の価格は下がります。だから債券投信も値下がりすることがあります。「守り」と言っても元本保証ではない、というのはこの意味です
- ただし金利が上がりきった後は、高い利回りでお金が回り始めるので、そこから先は債券の魅力が戻ってきます
- 外国債券の投信なら、これに為替の変動も加わります
「世の中の金利」と「すでに発行された債券の価格」は、シーソー(天秤)のような関係です。銀行の金利が上がると、みんなわざわざ古い低金利の債券を持たずに、手堅い預金や新しい債券に乗り換えます。すると古い債券は人気がなくなって値下がりする——これが「金利が上がると債券価格は下がる」の正体です。だから債券は「増やす資産」ではなく「減りすぎを防ぐ資産」と覚えておくと、判断を誤りません。
企業は物価が上がれば商品やサービスの値段も上げられるため、株式はインフレに強い資産と言われています。つまり「インフレ対策」が目的なら、債券より株式(オルカン/S&P500)のほうが理にかなっています。債券の本当の役割は「インフレ対策」ではなく「株が暴落したときのショック吸収」だと割り切るのが正確です。
株価が暴落しても積立を続ける考え方は、暴落時に「何もしない」が正解な理由でも解説しています。
6. 初心者が迷う3つの疑問(国債・種類・バランス型)
債券の話になると、初心者がつまずきやすいポイントが3つあります。先に押さえておきましょう。
疑問① NISAで「個人向け国債」は買えるの?
いいえ、買えません。NISAの対象は株式・投資信託・ETFなどで、「個人向け国債」はNISAの対象外です。2027年に追加されるのも、あくまで債券を中心とした「投資信託」です。なお、元本割れが絶対に嫌で安全第一という方には、NISAの枠の外にはなりますが、銀行・証券会社で買える「個人向け国債(変動10年など)」という選択肢もあります。これは国が元本を保証する商品で、預金に近い性格です。
疑問② 債券投信は種類が多くて、どれを選べばいい?
債券投信は中身によって性格が大きく変わります。ざっくり次のイメージです。
| 種類 | 性格 |
|---|---|
| 国内(日本)債券 | 値動きは小さいが、今の低金利ではリターンもごくわずか |
| 先進国債券(為替ヘッジあり) | 為替の影響を抑えた、比較的安定寄りのタイプ |
| 先進国債券(為替ヘッジなし) | 金利に加えて為替でも値が動く。守りにしては揺れが大きめ |
「守り」を目的に債券投信を選ぶなら、為替の揺れを抑えた「為替ヘッジあり」のタイプから検討するのが、初心者には分かりやすいと言われています。いずれにせよ、商品ごとに中身と手数料(信託報酬)をよく確認することが大切です。
疑問③ 「バランスファンド」と何が違う?
株式と債券をあらかじめ混ぜてくれているのがバランスファンド(例:株式・債券・REITなどを均等に持つタイプ)。1本買うだけで分散ができ、比率の調整も自動なので手間がかかりません。一方、株式投信と債券投信を自分で組み合わせると、比率を自由に決められる代わりに、調整(リバランス)は自分で行う必要があります。
結論として、資金が少なく手間をかけたくない人は、無理に組み合わせず「株式1本+預金」がいちばんシンプルです。バランス型が気になる方は別途、商品の中身を比べてみてください。
7. 「資金に余裕がない私」はどうすべき?
最後に、いちばん多いであろうケース——「50代、積立にそれほど余裕はない」という人への結論です。
2027年の債券NISAを、無理に使う必要はありません。限られた積立は株式(オルカンなど全世界株が代表)を中心にし、「守り」は預金で持つ。これで、わざわざ債券投信を組み込むのとほぼ同じ効果が、もっとシンプルに得られます。「やらない」も立派な戦略です。
ここで大事なのは、「債券を入れる余裕がないから諦める」のではなく、「役割が預金と被るから、あえて入れない」という考え方です。日本人はもともと預金の比率が高い人が多く、すでに債券の代わりになる"守りの資産"を持っているとも言えます。だからNISAという貴重な非課税の枠は、リターンの低い債券で埋めるより、株式に使ったほうが活きるのです。
- すぐ使える:債券投信は売ってから現金になるまで数日かかりますが、預金は今すぐ引き出せます。資金に余裕がないときほど、この安心感が最強の守りになります
- 元本が減らない:債券投信は金利次第で値下がりしますが、預金の元本は減りません(普通預金・定期預金の場合)
新しい制度が始まると「使わないと損かも」と感じがちですが、自分に必要ないものは見送ってよいのです。それより、半年〜1年分の生活防衛資金(預金)を確保したうえで、無理のない金額で株式の積立を続けるほうが、長い目で見れば堅実です。50代からの積立の考え方は50代のNISAの始め方にまとめています。
8. まとめ
- 2027年から、NISAのつみたて投資枠に「債券中心の投資信託」が追加(債券そのものではない)
- 債券の役割は「守り」。リターンを増やすためではなく、暴落の揺れを抑えるために混ぜる
- おすすめは退職が近い人・値動きが怖い人。取り崩しまで15年以上ある人は無理に不要
- ポートフォリオは資金がある人=1口座で攻め+守り/ない人=株式100%+預金でOK
- インフレ下では債券は万能の守りではない。インフレに強いのはむしろ株式
- 持っているオルカン/S&P500を売って買い替える必要はない。やるなら今後の積立配分だけ調整
- 個人向け国債はNISA対象外。債券投信を選ぶなら「為替ヘッジあり」から検討するのが分かりやすい
- 比率は年齢ではなく「いつ取り崩すか・年金・預金・退職金」で決める