結論からいうと、配当金に新しい「社会保険料率」を直接かける制度ではありません。

今回決まったのは、後期高齢者医療制度で、上場株式の配当などの金融所得を保険料や医療費の窓口負担割合を決める所得判定に反映する仕組みです。

NISAの非課税所得は対象外と厚生労働省資料に明記されています。

まず4コマで全体像

配当金などの金融所得を後期高齢者医療の判定に反映する2026年改正を説明する4コマ漫画
ニュースの見出しだけだと強く見えますが、ポイントは「直接課す」ではなく「所得判定に反映」です。

「配当金に社会保険料」ではなく、所得判定に反映する改正

ニュースで「配当金などの金融所得を社会保険料に反映」と聞くと、配当金から新しく保険料が天引きされるように見えます。

しかし厚生労働省の説明では、今回の中心は、後期高齢者医療制度で上場株式の配当などの金融所得を、確定申告の有無にかかわらず、窓口負担割合や保険料の判定に含めることです。

現在は、確定申告をすれば市町村が所得を把握できる一方、源泉徴収だけで申告しない場合は把握できないことがあります。その差をならすため、金融機関等が提出する法定調書を活用する仕組みが整備されます。

イメージ:「配当金に新しい保険料を課す」ではなく、「負担を決めるときに課税口座の金融所得も同じように見る」という話です。

厚労省の例では、年間保険料が約5.1万円違う

厚生労働省は、現行制度の不公平を説明するために、夫婦ともに後期高齢者の具体例を示しています。

本人の年金230万円
上場株式の配当等50万円
反映ありの年間保険料169,978円
反映なしの年間保険料118,928円

年間保険料だけでも差は51,050円です。ただし、これは「改正後は金融所得50万円がある人が全員この金額になる」という意味ではありません。現行制度では、同じ所得でも確定申告の有無で結果が変わることがある、という例です。

配当金などの金融所得を後期高齢者医療の所得判定に反映する2026年改正の要点。NISAは対象外、成立は2026年5月29日、公布は6月5日
スマホでは縦長図解、PCでは横型図解を表示します。

出典:厚生労働省「医療保険制度改革に関する広報について」。実際の保険料や窓口負担割合は、本人・世帯の所得、自治体・広域連合の保険料率などで変わります。

なぜ金融機関の情報を使うの?

確定申告をしない金融所得を把握するため、改正では金融機関などが税務署へ提出している法定調書を活用します。

厚生労働省資料では、金融機関等に対して、対象となる法定調書を後期高齢者医療広域連合へオンラインで提出する仕組みを整備するとされています。本人が毎年新しい申請をする仕組みではなく、個人の事務負担等は増えないと説明されています。

NISAは対象外

私が一番気になったのはここでした。厚生労働省の資料には、非課税のNISAは対象外と明記されています。

NISAで老後資金を作っている人にとって、この点は重要です。少なくとも今回成立した後期高齢者医療制度の改正では、NISAの非課税所得は対象外です。

ただし、課税口座の配当・譲渡益などについては別です。今後の具体的な対象範囲は、施行までの政令や公式資料を確認していく必要があります。

NISAの基本は「新NISAとは?旧NISAとの違いをわかりやすく解説」でも整理しています。

まず対象になるのは後期高齢者医療制度

今回成立した法律で金融所得を反映する対象として定められたのは、後期高齢者医療制度です。

  • 今回決まったこと
    後期高齢者医療制度での金融所得反映
  • 今回決まっていないこと
    国民健康保険や会社員健保へ同じ仕組みをそのまま拡大すること

将来ほかの制度へ広がる可能性をゼロとは言えませんが、現時点で「会社員も配当金に社会保険料がかかることが決まった」と考えるのは早すぎます。

いつから変わる?2026年からすぐではない

法律案は2026年5月29日に成立し、法律は2026年6月5日に公布されました。ただし、金融所得を後期高齢者医療の保険料や窓口負担割合へ反映する仕組みは、すぐ始まるわけではありません。

法律の概要では、この部分の施行日は公布後5年以内に政令で定める日とされています。厚生労働省が示した想定スケジュールでは、オンライン提出義務化は成立・公布後おおむね2~3年程度、保険料・窓口負担区分への反映は公布後おおむね4~5年程度とされています。

私はどうする?まずNISAを優先して続ける

今回調べてみて、私自身の行動は大きく変えないことにしました。理由は、NISAの非課税所得は今回の対象外だからです。

老後資金を作るなら、税金だけでなく、将来の社会保険制度まで考える必要がある時代になってきたと感じます。だからこそ、まずNISAの非課税枠を活用し、課税口座で大きな金融所得が出る場合は制度改正を確認していくのが現実的だと思います。

私がNISAを続ける考え方は「50代でもS&P500を続ける理由」でも書いています。

まとめ

この記事のまとめ

  • 上場株式の配当などの金融所得を、後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担判定へ反映する改正
  • 配当金に新しい社会保険料率を直接かける制度ではない
  • 確定申告の有無による負担差をなくすことが目的
  • 金融所得は金融機関等の法定調書を使って把握する
  • NISAの非課税所得は対象外
  • 国保や会社員健保への拡大は今回の法律では未決定
  • 2026年から即時開始ではなく、数年かけて段階的に実施する見込み

よくある質問

Q. 配当金に新しく社会保険料が直接かかるのですか?

いいえ。今回の改正は、対象となる金融所得を後期高齢者医療の保険料や窓口負担割合の所得判定に反映する仕組みです。

Q. NISAの利益や配当も対象ですか?

厚生労働省は、非課税のNISAは対象外と明記しています。

Q. 会社員の健康保険も対象ですか?

今回成立した法律で金融所得反映の対象となるのは後期高齢者医療制度です。会社員の被用者保険へ同じ仕組みを広げることは、今回の法律では決まっていません。

Q. 国民健康保険も対象ですか?

今回の法律で決まった金融所得反映は後期高齢者医療制度です。国民健康保険については過去の審議で論点になっていますが、今回の改正で同じ仕組みの導入が決まったわけではありません。

Q. いつから始まりますか?

法律は2026年6月5日に公布されましたが、この仕組みは公布後5年以内に政令で定める日から施行されます。厚生労働省の想定では、保険料・窓口負担区分への反映は公布後4~5年程度が見込まれています。

一次情報

免責事項:本記事は2026年8月17日時点の公表情報に基づく一般的な情報提供です。制度は今後、政令・システム整備などで具体化されます。最新情報は厚生労働省などの公式情報で確認してください。