2026年度の地域別最低賃金について、全47都道府県の答申が出そろいました。答申額の全国加重平均は、前年の1,121円から56円上がり、1,177円となる見込みです。正式な最低賃金は、異議申出などの手続きを経て都道府県ごとに決定されます。

ただ、時給だけ見ても「月収や年収はいくらになるの?」までは分かりにくいですよね。そこで今回は、週20時間と週30時間で働いた場合を、家計目線で計算しました。

先に結論です。

  • 週20時間なら、年収は約122万4,080円
  • 週30時間なら、年収は約183万6,120円
  • 週20時間は年収130万円未満でも、勤務先の健康保険・厚生年金に加入する場合がある
  • 週30時間では、所得税がかからない給与収入の目安178万円を約5万6,000円上回る
  • 税金の扶養と社会保険の扶養は別々に判定される

最初に確認|1,177円は答申額で、全国一律ではない

厚生労働省が2026年9月3日に公表した1,177円は、各地方最低賃金審議会が答申した改定額を、働く人の数で加重平均した金額です。正式決定前の段階であり、全国どこでも時給1,177円になるわけではありません。

答申された金額は、都道府県によって1,085円から1,280円。今後の手続きを経て、2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定です。

自分の給料を計算するとき

雇用契約書や給与明細の時給と、勤務先がある都道府県の最低賃金を使ってください。この記事では比較しやすいように全国加重平均1,177円で試算します。

週20時間なら約122万円、週30時間なら約184万円

年収は「時給×週の労働時間×52週」で計算します。ここでいう年収は、時給だけで計算した年間給与の目安です。賞与、時間外手当、通勤手当、欠勤、休業などは反映していません。

週20時間

年収 1,224,080円
週給
23,540円
月収平均
約102,007円
年間労働時間
1,040時間

週30時間

年収 1,836,120円
週給
35,310円
月収平均
約153,010円
年間労働時間
1,560時間
週20時間:1,177円×20時間×52週=1,224,080円
週30時間:1,177円×30時間×52週=1,836,120円

※月収は年収を12か月で割った平均です。月ごとの勤務日数によって実際の給料は変わります。

週15時間・25時間・40時間も早見表で確認

週の労働時間週給月収平均年間給与の目安
週15時間17,655円約76,505円918,060円
週20時間23,540円約102,007円1,224,080円
週25時間29,425円約127,508円1,530,100円
週30時間35,310円約153,010円1,836,120円
週40時間47,080円約204,013円2,448,160円

時給1,177円だけで考えると、年収130万円に達するのは週約21.2時間、年収178万円に達するのは週約29.1時間です。ただし、実際には手当や残業が加わることがあるため、境目ぎりぎりに合わせるのは難しくなります。

178万円・130万円・週20時間は別の話

「年収の壁」は一つではありません。所得税、配偶者の税金、健康保険・厚生年金で判定方法が違います。

確認するもの主な目安週20時間・約122万円週30時間・約184万円
本人の所得税給与収入178万円以下で、ほかに所得がなければ原則かからない目安の範囲内約5.6万円上回る
住民税の所得割給与収入119万円以下で、ほかに所得がなければ原則かからない。均等割や自治体の基準に注意約3.4万円上回る上回る
健康保険の扶養原則として年間収入130万円未満。加入する健康保険の判断を確認金額は下回る上回る
勤務先の社会保険労働時間、企業規模、雇用見込みなどで判定勤務先等の要件を確認4分の3基準にも注意

給与収入が178万円を超えても、超えた金額が丸ごと税金になるわけではありません。また、社会保険料控除などがあるため、週30時間の例で必ず所得税が発生するとも限りません。178万円の基準は、2026年12月1日に施行され、2026年分の所得税から適用されます。毎月の給与から差し引かれる源泉所得税と最終的な年税額が一致しない場合は、年末調整などで精算されます。

一方、住民税は所得税より低い収入からかかる場合があります。均等割の非課税基準は自治体や家族構成などでも異なるため、市区町村の案内を確認してください。

週20時間なら、130万円未満でも勤務先の社会保険に加入する場合がある

ここが一番誤解しやすいところです。週20時間の年収は約122万円なので「130万円未満なら配偶者の扶養に入れる」と考えたくなります。

しかし、2026年9月時点では、厚生年金の被保険者数が51人以上の企業などで、次の条件を満たす短時間労働者は、勤務先の健康保険と厚生年金に加入します。企業規模は原則として厚生年金の被保険者数で判定し、法人の場合は店舗単位ではなく法人全体で数えます。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2か月を超えて働く見込みがある
  • 学生ではない
  • 2026年9月までは所定内賃金が月8.8万円以上

時給1,177円で週20時間なら、月収平均は約10.2万円です。月8.8万円を超えるため、勤務先の規模なども満たせば、年収130万円未満でも自分で社会保険に入ります。なお、月8.8万円の判定は契約上の所定内賃金で行い、残業代・賞与・通勤手当などは原則として含めません。

2026年10月に「月8.8万円」の賃金要件は撤廃予定

賃金要件の撤廃は、2025年改正法に基づき政令で定める日から施行されるもので、厚生労働省は2026年10月を予定しています。企業規模要件は、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上へ段階的に広がり、2035年10月に撤廃される予定です。

週30時間の場合は、正社員が週40時間勤務なら労働時間が4分の3に達します。加えて月の所定労働日数も正社員の4分の3以上なら、企業規模にかかわらず社会保険の対象になります。

働く時間を決める前に確認したい5項目

  • 勤務先がある都道府県の新しい最低賃金と発効日
  • 雇用契約書に書かれた週の所定労働時間
  • 勤務先の厚生年金被保険者数
  • 賞与・手当・残業を含めた今後1年間の収入見込み
  • 配偶者の健康保険組合と会社の家族手当の条件

「時給が上がったから勤務時間を減らす」とすぐ決める必要はありません。社会保険に入れば手取りは一時的に減ることがありますが、保険料は会社と折半になり、将来の厚生年金や傷病手当金などの保障につながります。

大切なのは、年収だけで判断せず、手取り、保障、働きたい時間をまとめて考えることです。

まとめ|週20時間は約122万円、週30時間は約184万円

  • 答申額の全国加重平均は1,177円。正式額と発効日は都道府県ごとに決まる
  • 週20時間の年収は約122万4,080円
  • 週30時間の年収は約183万6,120円
  • 130万円未満でも週20時間などの条件で勤務先の健康保険・厚生年金に加入する場合がある
  • 所得税・住民税・健康保険・会社の手当は別々に確認する

最低賃金が上がると、同じ勤務時間でも年収は増えます。そのぶん税金や社会保険の境目にも早く近づきます。まずは自分の時給と所定労働時間を使って、1年間の見込み収入を計算してみましょう。

よくある質問

時給1,177円で週20時間なら扶養内ですか?

年収の単純計算は約122万円で130万円未満ですが、勤務先が51人以上の企業などで社会保険の加入要件を満たせば、配偶者の健康保険の扶養から外れて勤務先の社会保険に加入します。

週30時間なら所得税はいくらかかりますか?

年収は約184万円で178万円を上回りますが、社会保険料控除やそのほかの控除によって課税所得が変わるため、勤務時間だけでは税額を確定できません。

最低賃金の答申額1,177円はいつからですか?

1,177円は答申額の全国加重平均で、全国一律の金額ではありません。各都道府県の正式な改定額は、異議申出などの手続きを経て決定され、2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定です。

参考情報

※本記事は2026年9月5日時点の公表情報をもとにしています。最低賃金は答申後の手続きを経て正式決定されます。税金・社会保険の判定は、家族構成、勤務先、加入する健康保険、手当などによって異なります。