モバイルバッテリーの発火事故について、以前このブログでも何度か取り上げてきました。
そして2026年8月23日、さらに大きな動きが報じられました。
政府が、モバイルバッテリーに第三者機関による検査を義務付ける方向で安全規制を強化する方針だというのです。
「PSEマークが付いていれば大丈夫じゃなかったの?」私も最初にそこが気になりました。
結論から言うと、これまでのPSE制度がなくなるわけではありません。今回のポイントは、事業者による安全確認を中心としてきた仕組みに、第三者機関のチェックを加える方向になったということです。

結論|モバイルバッテリーの安全確認が今より厳しくなりそう
報道によると、政府は電気用品安全法の政省令を改正し、技術基準の強化、製造時の品質管理の強化、第三者機関による検査などを導入する方向で検討しています。
2026年度中の制度化を目指し、その後1年間程度の経過措置を設ける方針とされています。
つまり、「明日から今持っているモバイルバッテリーが使えなくなる」という話ではありません。市場へ流通する製品の安全確認を、今後さらに厳しくしていこうという動きです。
PSEマークがあるのに、なぜ第三者検査?
ここが今回のニュースで一番分かりにくいところです。
モバイルバッテリーはすでに電気用品安全法の対象で、対象製品を販売するにはPSEマークが必要です。ただし現在のモバイルバッテリーは、いわゆる「特定電気用品以外の電気用品」に分類されています。
そのため、安全基準への適合確認は基本的に製造・輸入事業者側で行う仕組みです。第三者機関へ検査を依頼することはできますが、現在は一律に義務付けられているわけではありません。
今回報じられた制度変更では、これまで事業者側で安全を確認していたところに、独立した第三者機関による検査も必要にする方向です。
「PSEマークがなくなる」のではなく、PSE制度の安全確認をさらに厳しくすると考えると分かりやすいでしょう。

なぜ今、規制を強化するの?
理由は、モバイルバッテリーを含むリチウムイオン電池製品の事故が増えているからです。
NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2021年から2025年の5年間に通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件。その中でも、製品別ではモバイルバッテリーの事故が最も多くなっています。
さらに事故は春から夏に増加し、8月がピーク。夏の暑い時期は、特に注意したいですね。
モバイルバッテリーの発火原因や熱暴走、膨張などの危険サインについては「リチウムイオン電池の火災が急増中|今日からできる予防と正しい捨て方」で詳しくまとめています。
中国製だから危険、という話ではない
今回の報道では、国内で流通しているモバイルバッテリーの大半が中国製ともされています。ただ、「中国製=危険」と単純に考えるのは違うと思います。
スマートフォンやパソコン、家電など、中国で製造されている製品は非常に多くあります。重要なのは製造国だけではなく、品質管理、安全基準、メーカーや販売元の明確さ、リコール情報を確認できるかです。
今回の第三者検査も、製造国ではなく、製品そのものの安全性を市場に出る前に確認するための仕組みと考える方がよさそうです。
今持っているモバイルバッテリーは捨てるべき?
今回のニュースを見て、「今使っているものも危ないの?」と思う人もいるかもしれません。
現時点で、正常に使用できているモバイルバッテリーをすべて捨てなければならないという話ではありません。ただし、今一度チェックしておきたいポイントがあります。
- PSEマークを確認する
製品本体にPSEマークがあるか、メーカーや販売事業者が明確かを確認しましょう。 - 膨らんでいる・異常に熱いなら使用しない
膨張、異常発熱、変なにおい、変形があれば使用を中止した方が安全です。 - 高温の車内に放置しない
夏の車内は非常に高温になります。モバイルバッテリーを置きっぱなしにしないようにしましょう。 - 落下や強い衝撃にも注意
落として大きく変形した場合などは、内部損傷の可能性があります。
買い替え候補を探すなら
膨張・異常発熱・変形があるものは使い続けず、PSEマークとメーカー・販売元が確認できる製品を選びたいところです。以前の記事でも触れたように、まずは実績のあるメーカー、持ち歩きやすい10,000mAh前後、飛行機に持ち込みやすい容量を目安にすると選びやすいです。
※リンク先で最新の価格・在庫・PSE表示・販売元を必ず確認してください。安さだけでなく、メーカー名や問い合わせ先が分かるかも見ておくと安心です。
安全なモバイルバッテリーの選び方や、耐火バッグなどの安全対策グッズについては「耐火バッグは必要?リチウムイオン電池の火災対策グッズと安全なモバイルバッテリーの選び方」でまとめています。
飛行機のモバイルバッテリールールも厳しくなった
安全対策はすでに別の場所でも始まっています。2026年4月24日から、航空機内でのモバイルバッテリーのルールが厳しくなりました。
主なポイントは、160Wh以下、2個まで持ち込み可能、機内でモバイルバッテリー本体を充電しない、機内でモバイルバッテリーからスマホなどへ給電しない、座席上の収納棚ではなく手元で管理する、といった内容です。
容量のWh計算や詳しい持ち込みルールについては「モバイルバッテリーは飛行機に持ち込める?預け入れ・個数制限がひと目でわかる早見表」で詳しくまとめています。
NITEが呼びかける「3つのC」
NITEはリチウムイオン電池製品を安全に使うため、3つのCを呼びかけています。
不要になったモバイルバッテリーは、一般ごみに混ぜず、自治体やメーカーなどが指定する方法で回収・処分します。
2026年4月1日からは、モバイルバッテリーも「指定再資源化製品」に追加され、メーカーや販売事業者による自主回収・リサイクルの仕組みも強化されています。
今回のニュースで私が感じたこと
モバイルバッテリーは、スマートフォンを使う生活ではとても便利な製品です。だからこそ、「安ければ何でもいい」という選び方は、そろそろ考え直した方がいいのかもしれません。
数百円安い製品を選んでも、発火事故につながったら、その差額では済みません。一方で、「高ければ絶対安全」というわけでもありません。
大切なのは、PSEマーク、メーカー・販売元、製品情報、リコール情報、使い方まで含めて判断することだと思います。
まとめ|制度が変わる前から、自分でできる安全対策を
この記事のまとめ
- 政府はモバイルバッテリーの第三者検査義務化を検討していると報じられた
- 現時点では報道段階で、正式な制度内容は今後確認が必要
- PSE制度がなくなるのではなく、安全確認をさらに厳しくする方向
- 今持っている製品をすべて捨てる話ではない
- PSEマーク、膨張・発熱、保管場所、廃棄方法を今から確認したい
毎日使う小さなバッテリーだからこそ、価格だけではなく、安全性も含めて選びたいですね。
よくある質問
Q. 今持っているモバイルバッテリーは使えなくなりますか?
いいえ。今回の報道は、今後市場に流通する製品の安全確認をより厳しくする方向の話です。正常に使えている製品をすべて捨てる必要がある、という内容ではありません。
Q. PSEマークがあれば絶対安全ですか?
絶対安全ではありません。PSEマークは購入時の最低条件ですが、経年劣化や誤使用による発火リスクは残ります。膨張・異常発熱・異臭があれば使用を中止してください。
Q. 中国製は避けた方がいいですか?
製造国だけで判断するのではなく、メーカーや販売元が明確か、PSEマークがあるか、リコール情報を確認できるかを見た方が現実的です。
参考情報
- 読売新聞の報道(モバイルバッテリー第三者検査義務化方針)
- 経済産業省「電気用品安全法」
- NITE(製品評価技術基盤機構)リチウムイオン電池製品事故に関する注意喚起
- 国土交通省 航空機内のモバイルバッテリー取扱い関連情報
※本記事は2026年8月23日時点の報道・公表情報をもとにしています。第三者検査義務化は正式発表前の報道段階のため、制度内容が確定した際には必要に応じて更新します。