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スターリンクは黒字、テスラは減益、中国EVは大淘汰。ニュース映像ではわからない決算の数字

スターリンクは黒字、テスラは減益、中国EVは大淘汰
——ニュース映像ではわからない決算の数字

公開日:2026年7月2日(最終更新:2026年7月2日)

ロケットが爆発する映像。中国の高速道路で充電を待つEV(電気自動車)の長い行列。ニュースやSNSで流れてくる映像は強烈で、「宇宙ビジネスって大丈夫?」「EVってちょっと……」という印象が残ります。

でも決算の数字を見ると、印象とはまるで違う景色が見えてきます。この記事では3つの実例で、「映像の印象」と「お金が動いている場所」のズレを確かめます。S&P500やオルカンを積み立てている人ほど、知っておくと心が揺れなくなる話です。

スペースXのニュースといえば、巨大ロケット「スターシップ」の打ち上げ映像。成功も失敗も派手なので、「宇宙開発=お金を燃やす事業」という印象になりがちです。

ところが2026年6月の上場で開示された決算によると、お金を稼いでいたのは地味なほう——衛星インターネットのスターリンクでした。

スペースXの中身2025年の実績(報道ベース)
スターリンク売上約114億ドル・営業利益約44億ドルの黒字。契約者は約1,030万人で前年比約2倍
会社全体売上約187億ドル・約49億ドルの赤字(ロケット開発とAIに巨額投資のため)

日本ではスターリンクはあまり話題になりませんが、能登半島地震の際に避難所へ提供されるなど、実は身近になり始めています。映像になりやすい話題(ロケット)と、お金が動いている場所(通信)は別——これが1つ目の実例です。

スペースXの決算と「S&P500・オルカンに入るのか」問題は、
こちらの記事で詳しく解説しています。

スペースXはS&P500・オルカンに入る? ▶

実例② テスラ|紹介はされても「儲かってるか」は話題にならない

テスラは日本のニュースにもよく登場します。新型車、自動運転、イーロン・マスク氏の発言。でも「テスラって今、儲かってるの?」はほとんど語られません。決算を見るとこうです。

テスラの決算数字(報道ベース)
2025年の売上約948億ドル(前年比−3%・創業以来初の減収
2025年の純利益約38億ドルの黒字。ただし前年(約71億ドル)からほぼ半減。ピークの2022年(約126億ドル)の3分の1以下
販売台数約163万台(前年比−9%)
次の一手高級車のモデルS/Xを終了し、ロボット・ロボタクシーへ経営資源を移すと報じられる

つまり「テスラ=EVで大儲け」も「テスラはもうダメ」も、どちらも古い印象です。正確には「黒字だが、値下げ競争で儲けが3年連続で細っていて、EVの次に賭けようとしている会社」。この解像度は、決算の数字を見ないと手に入りません。

実例③ 中国EV|充電待ち映像と「大淘汰」の数字

連休の中国で、EVが充電器の順番を延々と待つ映像。あれを見ると「EVは失敗だったのでは」と感じます。でも数字で見ると、起きているのは「失敗」ではなくもっと激しい何かでした。

売れている。でも、儲からない

中国のEVは今も大量に売れています。問題は作りすぎです。中国の自動車生産能力は年5,500万台超に対し、国内需要は約2,300万台。工場の稼働率は約50%と報じられており、余った車を値引き(最大手BYDの平均値引き率は2026年3月に過去最高の10%)と輸出で吐き出す消耗戦になっています。

補助金の出口が「ふるい」になる

そこに追い打ちをかけるのが補助金の縮小です。中国では2026年1月から、EV購入時の税金免除が半分に縮小されました。駆け込み需要の反動もあり、BYDは2025年11月の乗用車販売が前年比−26.5%と報じられています。

数字で見る「大淘汰」

ちなみに日本でも2026年4月からEV補助金の計算方法が変わり、国産電池の採用などが優遇されてBYDへの補助金は15万円に半減、トヨタは最大130万円と報じられました。補助金は「消費者へのおまけ」ではなく、各国の産業政策の武器なんですね。

「補助金で育った産業は、補助金の出口で選別される」。
日本でも太陽光発電の買取価格が下がった局面で関連業者の倒産が相次いだと報じられました。40〜50代なら見覚えのある光景です。

3つの話に共通する教訓

① ニュース映像は「儲かっているか」を教えてくれない 映像になるのは派手な出来事(爆発・行列・新製品)。お金の流れは決算にしか出てきません。爆発映像のスペースXは通信で黒字を稼ぎ、話題のテスラは静かに減益していました。
② 「産業が本物」と「その会社の株で儲かる」は別の話 EVという産業は本物でした。でも激しい価格競争の結果、恩恵は安く買える消費者に流れ、企業の利益は薄くなりました。「世界を変えたのに投資家はなかなか報われなかった」と言われる航空業界と同じ構図です。
③ どの会社が生き残るかは、プロでも当てるのが難しい 129ブランドから15社を当てる勝負に、私たちが参加する必要はありません。「当てる必要をなくす」のが、市場まるごと持つインデックス投資の考え方です。

積立投資家はどう向き合う?

答え 映像は楽しんでいい。ただし売買の理由にしない

S&P500やオルカンのようなインデックスは、利益が細る会社の比重が自然に下がり、伸びる会社の比重が上がる仕組みです。個別の勝ち負けの判定は、指数のルールが淡々とやってくれます。私たちが映像を見て慌てて手を動かす必要はありません。

「中国EVが総崩れになったらオルカンは大丈夫?」という心配も、数字で見ると落ち着きます。オルカンに占める中国株の比率は数%程度にとどまります(正確な最新値は運用会社の月次レポートで確認できます)。特定の国の特定の業界が崩れても、全体が沈まないように作られているのが全世界分散です。

いちばんの落とし穴 不安になる映像を見て積立をやめてしまうこと。これが統計的にいちばんもったいない行動と言われています。急落時の心構えは「日経平均が急落した日に積立投資家がやること・やらないこと」にまとめています。
👨‍👦 我が家では 息子と中国EVの充電待ち映像の話になったとき、「じゃあEVはダメなの?」ではなく「じゃあ決算はどうなってるんだろう?」と一緒に調べたのが、この記事のきっかけです。映像で止まらず数字まで見る——これも立派な金融教育だと感じました。私がS&P500とオルカンを続ける理由は「5倍になるファンドがあるのに、なぜ私はS&P500とオルカンを続けるのか」に書いています。
「印象に振り回されない投資」をこれから始めるなら

ニュースが騒がしい年こそ、コツコツ積立の出番です。我が家も親子で楽天証券を使っています。

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よくある質問

テスラは赤字なのですか?

黒字です。ただし2025年の純利益は約38億ドルで、前年からほぼ半減、ピークの2022年の3分の1以下に減っていると報じられています。「赤字か黒字か」だけでなく「増えているか減っているか」を見るのがポイントです。

中国EVが総崩れになったら、オルカンは大きく下がりますか?

オルカンに占める中国株の比率は数%程度にとどまるため、中国EVの淘汰だけで全体が大きく沈む可能性は低いと考えられます。正確な組入比率は運用会社の月次レポートで確認できます。

決算の数字はどこで見られますか?

各社の公式サイトのIR(投資家向け情報)ページが一次情報です。日本語では日経などの経済メディア、証券会社のアプリでも要点を確認できます。「売上」「純利益」「前年比」の3つだけ見る習慣でも、印象とのズレに気づけるようになります。

EVやAIのテーマ型投信に乗り換えたほうがいいですか?

本記事は特定商品の推奨はしません。一般論として、テーマ型は「どの会社が勝つか」を当てる要素が強く、値動きも大きくなりがちです。当てる自信がない場合に「当てる必要をなくす」のが全世界・全米まるごとのインデックスという考え方です。

まとめ

【参考にした主な情報源(2026年7月2日閲覧)】
宙畑「SpaceX、Starlinkで営業利益44億ドルと判明」
CNBC「Tesla (TSLA) Q4 2025 earnings」
Al Jazeera「Tesla reports first-ever annual decline in revenue」
CNBC「China EV makers brace for 2026 survival test」
CarNewsChina「China ends full EV tax exemption in 2026」
日本経済新聞「BYD、日本のEV補助金が15万円に半減」
※本記事は2026年7月時点の報道・公開情報をもとにした情報提供であり、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。業績・制度・補助金の数値は今後変わる可能性があります。投資の最終判断はご自身でお願いします。