目次
はじめに――52歳の私が年金を真剣に考え始めたきっかけ
52歳になった今年、FP3級の勉強を始めた。テキストを読み進めるうちに、年金についての知識が驚くほど薄かったことに気づいた。「65歳からもらえる」くらいのイメージしかなかったのだ。
定年まであと8年。今さら焦っても仕方ないが、「いつからもらうかで月7万円以上の差が出る」という事実を知って、さすがに無視できなくなった。
この記事では、私がFP3級の勉強や年金機構の公式情報をもとに調べた「年金の受給開始年齢」についての疑問をQ&A形式でまとめた。同じように「年金って結局いつからもらえばいいの?」と悩んでいる40〜50代の方に届けばと思う。
この記事でわかること
繰り上げ・繰り下げ受給の仕組みと損益分岐点、60歳・65歳・70歳それぞれの受給額の目安、働きながら受給する際の注意点、そして「私の場合どれが有利か」の考え方。
Q1. 年金って何歳からもらえるの?
私の疑問
「年金は65歳から」と思っていたけど、もっと早くもらえるって聞いた。実際どうなの?
A. 原則は65歳。ただし60〜75歳の間で自由に選べる
老齢年金(厚生年金・国民年金)の受給開始年齢は、原則65歳だ(出典:日本年金機構)。ただし、2022年4月の制度改正により、60歳から75歳の間であれば自分で受給開始年齢を選ぶことができるようになった。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 繰り上げ受給 | 60〜64歳の間に早めに受け取り始める(減額あり) |
| 原則受給 | 65歳から受け取る(基準額) |
| 繰り下げ受給 | 66〜75歳まで遅らせて受け取り始める(増額あり) |
知らなかった!
「75歳まで繰り下げられる」ようになったのは2022年4月から。以前は70歳が上限だった。FP3級の勉強で初めて知った。
Q2. 60歳から早くもらうとどうなる?
私の疑問
定年と同時に年金ももらえたら楽なんじゃないか、と思ってた。60歳から受け取るデメリットって何?
A. 1ヶ月早めるごとに0.4%ずつ減額、しかも一生続く
繰り上げ受給を選ぶと、65歳の基準額から1ヶ月あたり0.4%が恒久的に減額される(出典:日本年金機構)。60歳から受給する場合は65歳より60ヶ月早いため、0.4% × 60ヶ月 = 24%の減額になる。
働きながら受給すると「在職老齢年金」で減額される場合も
60〜64歳で働きながら年金を受け取る場合、給与と年金の合計が一定額(基準額)を超えると、年金の一部または全部が支給停止になる仕組みがある。これを在職老齢年金という。
具体的には、賃金(標準報酬月額)と年金額の合計が月50万円(2024年度基準)を超えた場合、超えた分の半額が年金から差し引かれる(出典:日本年金機構。基準額は毎年度改定されるため最新情報を確認のこと)。
FP3級で学んで実感したこと
60歳から働きながら年金をもらうシナリオは、①減額(24%減)と②在職老齢年金による調整の「ダブルパンチ」になる可能性がある。思っていたより受取額が少なくなるケースがある。
Q3. 逆に遅くもらうとどうなる?
私の疑問
「遅らせると年金が増える」とは聞いたことあった。でもどのくらい増えるの?
A. 1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ増額、こちらも一生続く
繰り下げ受給を選ぶと、65歳の基準額から1ヶ月あたり0.7%が恒久的に増額される(出典:日本年金機構)。
| 受給開始年齢 | 増額率 | 計算式 |
|---|---|---|
| 66歳 | +8.4% | 0.7% × 12ヶ月 |
| 70歳 | +42% | 0.7% × 60ヶ月 |
| 75歳 | +84% | 0.7% × 120ヶ月 |
70歳まで繰り下げると、65歳基準の1.42倍を一生受け取れる計算だ。75歳まで繰り下げると実に1.84倍になる。
知らなかった!
0.7%という数字は小さく見えるが、5年間(60ヶ月)繰り下げると42%アップ。「長生きするなら繰り下げが有利」というのは、この計算から来ている。
Q4. 結局何歳からもらうのが得?
私の疑問
減額・増額の話はわかった。でも「得か損か」は何歳まで生きるかで変わるんでしょ?損益分岐点ってどこ?
A. 損益分岐点は「何歳まで生きるか」で決まる
繰り上げ・繰り下げを選んだとき、累計受取額がどこで逆転するかを「損益分岐点」という。
| 比較 | 損益分岐点(概算) |
|---|---|
| 60歳開始 vs 65歳開始 | 約78〜80歳 |
| 65歳開始 vs 70歳開始 | 約82歳 |
| 65歳開始 vs 75歳開始 | 約86歳 |
日本人男性の平均寿命は約81.5歳(2023年時点・出典:厚生労働省)。これを参考にすると、平均的な寿命では65歳以降での受給が有利になるケースが多いと言える。
Q5. 私(52歳・60〜64歳も働く予定・健康普通)はどれが向いてる?
私の疑問
一般論はわかった。じゃあ、60歳定年後も働く予定があって、健康状態は普通の私にはどの選択肢が向いてるの?
A. 働く予定があるなら65歳or70歳開始が相性が良い
私の状況(60歳定年・定年後も働く予定・健康普通)をもとに、各選択肢を整理してみた。
| 受給開始 | 私への影響 | 判断 |
|---|---|---|
| 60歳開始 | 24%減額が一生続く。働きながら受け取ると在職老齢年金でさらに調整される可能性あり。仕事収入があるなら必要性が低い | 損になりやすい |
| 65歳開始 | 基準額をそのまま受け取れる。60〜65歳は仕事収入でつなぐ想定なら現実的な選択肢 | 無難・安定 |
| 70歳開始 | 42%増額が一生続く。65〜70歳も働けるなら年金なしで生活でき、長生きしたときのリターンが最大 | 長生き前提なら最も得 |
ポイント:60〜65歳に働く予定があるなら
この時期に仕事収入がある場合、繰り上げ受給(60歳開始)は「収入があるのに減額済み年金を受け取る」という非効率な組み合わせになりがちです。収入がある間は繰り下げを選び、退職後に受取を始めるほうが合理的なケースが多いです。
Q6. 年金の仕組みって複雑だけど、どう覚えればいい?
私の疑問
国民年金・厚生年金・老齢年金……種類が多くてこんがらがる。整理する良い方法は?
A. 「2階建て構造」で覚えるのが一番わかりやすい
日本の公的年金は2階建て構造と呼ばれる仕組みになっている。
| 階層 | 名称 | 加入対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1階 | 国民年金(基礎年金) | 20〜60歳の全員 | 一律の保険料・一律の給付額(40年加入で満額) |
| 2階 | 厚生年金 | 会社員・公務員 | 給与に応じた保険料・給与に応じた給付額 |
会社員は1階(国民年金)+2階(厚生年金)の両方に自動で加入しており、老後は両方から年金を受け取れる。自営業者は1階のみ。この構造を頭に入れると、「国民年金と厚生年金は別物ではなく積み重なっている」というイメージが持ちやすい。
FP3級でも重要テーマ
年金の2階建て構造はFP3級の頻出テーマ。「ライフプランニングと資金計画」の分野で必ず出てくる。FP3級を勉強している人は、ここをしっかり押さえておくと試験だけでなく実生活でも役立つ。
受給開始年齢の比較表
65歳受給時の月額を仮に10万円(年120万円)として、繰り上げ・繰り下げ後の概算を示す。
| 受給開始年齢 | 増減率 | 月額(概算) | 年額(概算) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 60歳 | ▲24% | 約7.6万円 | 約91.2万円 | 一生24%減額が続く |
| 65歳 | ±0(基準) | 約10万円 | 約120万円 | 基準額(原則受給) |
| 70歳 | +42% | 約14.2万円 | 約170.4万円 | 一生42%増額が続く |
| 75歳 | +84% | 約18.4万円 | 約220.8万円 | 一生84%増額が続く |
私の診断結果――65歳or70歳開始が有力
Q&Aを整理した結果、私(52歳・60〜64歳も働く予定・健康状態普通)の場合の有力な選択肢は65歳または70歳開始という結論になった。
私の暫定シナリオ
60〜65歳:仕事収入でつなぐ → 年金は65歳から受給
65〜70歳も働ける状況なら繰り下げも検討。健康状態・働き具合を見ながら判断したい。
60歳から受け取らない理由は2つだ。①仕事収入があるので年金がなくても生活できる、②24%の恒久減額は長い目で見ると大きなマイナスになるからだ。
70歳まで繰り下げるかどうかは、65歳時点での健康状態と仕事の状況次第。今から答えを出す必要はないが、「65歳になっても繰り下げの選択肢を持ち続ける」という意識を持っておくことが大切だと感じている。
FP3級の勉強に使っているテキスト
年金の仕組みを体系的に学ぶには、FP3級のテキストが一番コンパクトにまとまっていると感じた。難しい言葉もかみ砕いて解説されていて、40〜50代の独学にも向いている。
まとめ――同じ悩みを持つ方へ
「年金は何歳からもらうのが得か」という問いに対する正解は一つではない。自分の健康状態・働く予定・生活費の必要額・家族の状況など、個人の事情が絡み合うからだ。
ただ、少なくともこれだけは言える。繰り上げ受給の減額も繰り下げ受給の増額も、一生続く。だからこそ、なんとなく「60歳からもらおう」と決めてしまうのは避けたほうがいい。
私と同じように「まだ先の話」と思っている50代の方でも、今のうちにねんきんネットで自分の見込み額を確認しておくことをすすめたい。数字を見るだけで、老後の解像度がぐっと上がる。
今すぐできる3つのこと
- ねんきんネット(日本年金機構)で年金見込み額を確認する
- ねんきん定期便(毎年誕生月に届く)の「老齢年金の見込み額」欄を確認する
- 具体的な受給開始の判断は、年金事務所または社労士に相談する